女性が主役の映画はヒットしない、だから作らないという定説が通ってきた映画界。これを覆す調査結果が発表された。

新たな調査結果を発表したのは大手エージェンシーのクリエイティブ・アーティスツ・エージェンシーと、テクノロジー会社のシフト7。2014年から2017年の世界中の興行成績を分析した結果、女性が主役の映画の方が男性が主役の映画よりもヒットしていることがわかった。
調査では興行成績上位350の作品を分析。カテゴリーを予算1,000万ドル未満、1,000万ドルから3,000万ドル、3,000万ドルから5,000万ドル、5,000万ドルから1億ドル、1億ドル以上という5つに分類した。このいずれのカテゴリーでも女性が主役の映画の方が興行成績で優っているという。また主役の性別はプレスリリースや配給会社の発表するクレジットで男優と女優、どちらが主演として記載されているかで判断したという。
またこの調査ではもう一つ驚きの事実が。世界での興行成績が10億ドル(約1,100億円)を突破している作品はいずれもある3つの条件を満たしているという。それは(1)少なくとも2人以上の女性が出てくる(2)その2人の女性が作品の中で会話する(3)その2人の女性の会話が男性のこと以外を話題にしている。調査を行なったシフト7のプロデューサー、リザ・チャシンはこの結果について「低い基準だけれど、これを満たしていない映画が多いのに驚きます」「当然のことですが、この結果について制作会社は考えるでしょう。多様性を実現するような意思決定を制作会社たちの重役に促す数字が大きくなってきているのは嬉しいことです」と語っている。
3つの基準を満たしている映画がいかに少ないかはアリシア・ヴィキャンデルが「女性と話すシーンを撮ったことがない」と語ったり、ナタリー・ポートマンが「大抵の場合は映画に出演している女性は私1人だった」と明かしていることからもよくわかる。この調査結果がハリウッドのジェンダー格差の解消を推し進める力になるのか、今後の動きを見守りたい。